はじめに
さまざまな教育法があるが、本当に意味があるのだろうか。
有名どころな教育法のエビデンスを見ていく。
代表的な教育法
モンテッソーリ
まず名前が上がるのが、モンテッソーリ教育だろう。
意識高い系であったり、自然派やスピリチュアルに傾倒している人が好む印象があって個人的には印象は悪い。
ただ、ジェフベゾスや藤井聡太が受けていた教育法だというので人気がある。
簡単に説明をすると、行事も少なめで、活動は子どもに任せて大人は原則見守るだけにし、モンテッソーリ特有のおもちゃ(なぜか地味に高価)で自由に遊ばせるという教育法である。(モンテッソーリを実践している人に怒られそうなほど雑な説明)
一般的に言われている利点としては、集中力が増す、自主性が上がるといったもの。欠点としては、協調性に欠ける、運動能力が低下する、集団行動が苦手になるといったことが言われている。
モンテッソーリ教育の子どもと一般教育の子どもを比較して、特定の能力が高かったとしている論文もあるが、そもそもモンテッソーリを導入している私立の幼稚園に通わせられる親は高収入であることが多く、モンテッソーリを導入していない普通の幼稚園と比較しても対等な比較にならないというものがある。
よく言われることであるが、世帯収入が高いほど子供の学力は高くなる。(参考:内閣府|平成28年度 子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究 報告書)
数少ない公平な研究として、ある学区で行われていた学校抽選の仕組みを利用し、モンテッソーリの学校に入った子どもと抽選に外れて一般的な学校に入った子どもを比較したものがある。事後比較の結果、両群の所得水準も同程度であった。比較の結果、文字や単語の識別や数学の能力、社会的能力などで優れているという結果は出ている。ただし、1校のみの比較であり十分な規模のエビデンスがあるとは言えない。(Chloë Marshall, Montessori education: a review of the evidence, npj Science of Learning (2017)2:11 ; doi:10.1038/s41539-017-0012-7)
また、むしろモンテッソーリ教育が逆効果になったという研究結果もある。以下は、モンテッソーリと一般的な教育法において、語学と数学の能力を4年生と8年生時で比較したもの。(Christopher Lopata , Nancy V. Wallace & Kristin V. Finn (2005) Comparison of Academic Achievement Between Montessori and Traditional Education Programs, Journal of Research in Childhood Education, 20:1, 5-13, DOI: 10.1080/02568540509594546)
MEP:モンテッソーリ
SM(Structured Magnet):いわゆる普通のカリキュラムで、教師が教えてドリル等で勉強をする教育法。
OM(open magnet):広い共有スペースを持ち、集団教育の他に少人数や個別教育も行う教育法。
TNM(Traditional Non-magnet):家に近い学校で、基本的な勉強で学力向上を目指す。(普通の公立学校)
マグネットスクールってなんやねんと思ったら、アメリカには日本の私立学校のような公立学校があるようです。(参考wiki:マグネットスクール)
4年生時においては、言語能力に差はなし、数学に関してはOMより優れていて、TNMより劣る。
8年生時においては、言語能力はSMとTNMに対しては優位に劣っていて、OMに対しては優位差は出なかったものの低い結果になっている。数学は差は見られなかったという結果になっている。

したがって、モンテッソーリ教育について言えることは、効果があるかもしれないし気のせいかもしれない。程度であろう。
肯定的な研究も否定的な研究も、確実に断定できるほどのエビデンスレベルがあるとは言えない。
シュタイナー教育
芸術や自然に触れることを重視した教育法で、7歳まで文字を教えないというのが有名かと思う。
内容は…とても…宗教的です。
そもそもシュタイナーがオカルト学者なので、当然である。
そしてシュタイナー教育について調べた論文は雑に探した限りは見つからなかった。
まあ、要するにそういうことです。
STEM教育
STEM教育は科学、技術、工学、数学について力を注ぐ教育であり、複数のメタアナリシス論文で優位性が出ている。賛否両論も何もない。やれ。以上。
以下雑に論文紹介。
学力に対する効果量0.307
学業への効果量は0.442、STEM分野に対する姿勢への効果量は0.620、科学的思考スキルの効果量は0.820。
就学前児の学習及び発達への効果量は0.556。
その他
レッジョ・エミリア・アプローチ
子供達に長期スパンのプロジェクトに取り組ませる教育法。プロジェクト推進のために折衝が必要なため、協調性や自主性が育つとされている。
有名になったのは最近なので、これ、ちゃんとした論文あるんですかね…
最後に
とりあえずちゃんとエビデンスがあるのはSTEM教育くらいなので、これをやっておけば間違いはないだろう。
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